榊原孝之はショッキングピンクの大きめの首輪、そして目隠しをされていた。厳密には目隠しだけではなく、口にボールギャグも噛まされていた。目隠しはそのへんの百円ショップでも売っていそうなシンプルな黒いアイマスクで、その上からネクタイが巻かれていた。
ショッキングピンクの下品なボールギャグを押し込められた口の端からは、だらだらとよだれがこぼれていた。秀麗な彼の顔を、彼自身が汚していた。
「ふっ……♡ ふうぅっ……♡♡」
大きなクイーンサイズのベッドの上で、シャツの前をくつろげている榊原。目隠しとボールギャグに目を瞑れば、ちょっとリラックスする時間のように見えなくもない。しかし、あけっぴろげの胸には、小さなローターが二つずつ乳首に取り付けられていた。
目にも鮮やかなメタリックパープルのローターは、ぶるぶると振動し続けている。剥がれないようにか、医療用のサージカルテープでしっかりと固定されたそれは、どれだけ身をよじろうが捻ろうが剥がれそうにない。ぶぶぶ、とスマートフォンが振動するよりも弱い振動を少し伸びた乳首に与えている。
榊原の下半身は、綺麗にプレスされたスラックスの前をくつろげた姿だった。もっとも、くつろげられた前からは陰茎と睾丸を下着から引き出されていたが。
そして、陰茎にはシリコン製の貞操帯が取り付けられていた。乳首に取り付けられたメタリックパープルのローターとおそろいの色をした貞操帯のなかでは、苦しそうに陰茎が膨らんでいた。睾丸だって、中にはち切れんばかりにパンパンと詰まった、優秀な公安警察の雄の遺伝子をひり出したくてうずうずしているようだった。臀部の下に敷かれた水色の大きなペットシーツだけが異質だった。
リラックスしているように見える、とは言ったが、榊原の両の足首はそれぞれ太ももに固定されている。いわゆるM字開脚の姿勢で、両手首は首輪から伸びる鎖のついた手錠でまとめられている。その手には小さなスイッチが握りしめられていた。
そもそも榊原がクイーンサイズのベッドの上で、みっともないM字開脚で固定されているのかと言えば、単純に黒崎啓が急に入った仕事のため、一人置き去りにする榊原の退屈を紛らわせてやろうと思ってのことだった。
しなくていい、とは言えない立場の榊原は、自分からスラックスの前を広げ、陰茎と睾丸を下着から引っ張り出して、ペットシーツの上でM字開脚をしたのだ。それを喜々として固定していた黒崎は、面白いものが入ったんですよ、と彼の首にショッキングピンクの首輪をつけて、そこから伸びる鎖のついた手錠で彼の手を固定したのだ。目隠しをして、その上からネクタイで固定し、物言いたげな口にボールギャグを噛ませる。そして乳首にそれぞれ二つずつローターを取り付ければ完成だ。
黒崎の所有物であり、彼の求めには必ず対応しなくてはならない。榊原は自分からその誓約書にサインをしたし、証拠写真も撮られたし、ケツ穴をマンコのように指でほじられながら朗読させられた上に、すっかり女性器と化したケツを耕されながらその動画も見せられたのだ。
嫌でも黒崎の所有物であり、反抗できない立場だと分からせられてしまった榊原だが、身体は期待していた。M字開脚しただけで、貞操帯に包まれていた陰茎の下にある睾丸はせり上がっていたし、乳首はビンビンに勃起していた。乳首は感じないとか言っていたのに、と黒崎がせせら笑う声で、榊原のケツの中はきゅん♡と、ときめいてしまった。S字結腸の奥がじゅくじゅくに溶けたような気がした。
黒崎がローターのスイッチを入れたらしく、ぶぶぶ、と小さく乳首が振動する。控えめな振動に、こんなものか、と榊原は内心余裕ぶる。
――耐えきれなくなったら、これを押してくださいね。
そう言って、榊原の手に握らされたスイッチ。誰が押すものか、と思いつつ、榊原は黒崎が去っていく気配を察する。
視界が塞がれているからか、どれだけ時間が経過したのかがわからない。しかし、乳首だけを刺激され続けている。スマートフォンの通知バイブよりも、ずっと優しい振動は物足りない。すっかり開発されて淫らにされた身体には、そんな生やさしい快楽は刺激にもならない。胎の内側から燃えるような快楽が欲しい。もっと、もっと激しいものが――
そう考えてしまって、ハッとしたように榊原はスイッチを押しそうになっていた手を緩めようとして――遅かった。
いつもより穏やかすぎる乳首への刺激は物足りなさがあったものだから、なんて言いわけだ。耐えきれなくなったら、と言った黒崎の言葉の真意は「弱くてもどかしい快感」に耐えきれなくなったら「榊原が自発的に」スイッチを押させることにあった。
スイッチが入った瞬間、穏やかに振動していたローターの振動が一気に強くなる。激しい音をたてて、二つの乳首をそれぞれ両サイドから刺激される。
「ふぐぅー♡♡♡♡ ん゛お゛ぉぉー♡♡♡♡♡♡♡」
榊原は気が狂いそうだった。目の奥がばちばちと白く爆ぜる。
黒崎の丹念な調教によって、少しだけ伸びて、すっかり性感帯に成り下がった乳首には強烈すぎる快感だった。貞操帯で戒められていなければ、びゅるびゅるとシーツをたっぷり汚していたことだろう。ぎゅんぎゅんと睾丸では優秀精子が量産されているのだが、陰茎の根本を戒めるコックリングが射精を許さない。それでも真っ赤に腫れた鈴口からは、だらだらとカウパー液があふれてしまう。放つことのできない熱が、ぐるぐると腹の中を回っていて、それを高めるように乳首だけをいじめられる。
ちかちかと目の奥がスパークする快感が、何度も何度も繰り返し与えられる。サージカルテープで固定されたローターを外したら、きっとニップレスでもつけなければまともに歩けないほど、熟れた乳首になっていることだろう。すでに今でも寝ている間に寝巻きと擦れてしまって、夢精をするような快感を覚えてしまっているものだから、風呂上がりには絆創膏を貼る始末だというのに。
放ちたいのに放てない。雄の欲望が渦巻く中で、榊原は肚の奥が疼いて仕方がなかった。前立腺をこれでもかと刺激されたかったし、S字結腸もブチ抜かれて雄子宮に榊原よりも優秀な雄の遺伝子がほしくてたまらない。肚が優秀で強い雄の剛直が腹の中にないことにイライラしているものだから、余計に乳首からの快楽が強くなる。なんで黒崎のちんこが、いきり立った彼の雄の中の雄がないのか。ぐるぐるのぐちゃぐちゃにかき回される思考に、思わず雄膣が泣き出しそうになったその時、がちゃ、と扉が開かれる。
「戻りました。……ああ、スイッチ押しちゃったんですね」
「ふうぅっ♡♡ ん゛ぐぅー♡♡♡」
「そんなに腰をくねらせてると雌みたいですね。ああ、もう榊原さんは女の子抱けないんでしたっけ。じゃあ、雌でいいですね」
「ふ、ふぅぅー♡♡♡」
「じゃあ、一人で待つことができたご褒美をあげなきゃいけませんね」
目隠しをされている榊原は見えなかったが、黒崎はハサミを取り出すとスラックスの縫い目に沿ってじょきん、と切る。その下の腸液でぐちゃぐちゃのパンツも切る。服を着ているのに、何一つとして陰部を守られていない惨めな榊原の格好に、ふふ、と黒崎はせせら笑う。
気に入ってくれると思いますよ。そう言うと黒崎は馬のように太くて長いディルドを、慣らしもせずに榊原のケツに突き刺す。抜けないように膝で押し込んだ黒崎は、眼の前の雌が中に入った外見だけを真似た偽物の雄を味わう様子を目を細めて見る。
ふぼふぼとよだれを垂らしながら腰を跳ねさせ、貞操帯につつまれた陰茎が苦しそうに膨らむ。鈴口からは、粘っこいよだれがどろどろと垂れて、スラックスを汚していた。
「それじゃあ、書類仕事が少しあるので」
ディルドとローターで楽しんでくださいね。
そう言って再び部屋を出ていった黒崎に気がつくことなく、榊原は肚のなかを蹂躙する偽物の馬ちんこを、すっかり女性器となったケツ穴を締め上げて射精を促していた。偽物の馬ちんこをぎゅんぎゅんに締め付ければ、複数のいぼのような突起物が雄膣を刺激する。頭を左右に振りながら、榊原は放ちたくて仕方がない。腰をくねらせてもディルドは榊原が気持ちよくなる場所しか突いてこない。このまま尻の穴をほじられていたら、それこそ本当に睾丸が爆発するんじゃないか、と榊原は馬鹿なことを考えてしまう。コックリングで吐き出せないままの熱に、睾丸が怒りだしたのだろうか。陰茎の根元が圧迫されて仕方がない。
う゛う゛、と目隠しの下で榊原が泣きそうになっていると、ようやっと扉が開かれる。しかし。すっかり過ぎた快楽に飲まれている榊原は、その音も聞こえていないようだった。部屋に入ってきた黒崎は、榊原が前後不覚の状態になっていることににんまりと満足感を覚える。
歯でコンドームのパッケージを破りながらベッドに近づき、ベッドにあがりながら黒崎は自分のスラックスの前をくつろげる。目の前で愛するひとの痴態を見せつけられて、陰茎はすでに臨戦態勢だった。はち切れんばかりに立ち上がった肉棒に薄いラテックスをまとわせると、ぶるぶると強い振動を与える偽ちんぽを引っこ抜く。
あえ、と戸惑う榊原を無視して、黒崎はいきり立った肉棒をすっかりとろとろのぐずぐずにとろけた穴に突き立てる。
「ん゛ぐぅっ♡♡♡♡ お゛お゛ぁお゛っ♡♡♡♡♡」
「ちょっと、榊原さん。ディルドで楽しみすぎですよ。ガバマンになってるじゃないですか、ちゃんと締めて下さい」
「ん゛ん゛ぅっ♡♡」
「あ、ちょっと締まりましたね。その調子、その調子」
ごんっ、ごんっ、と雄子宮の入り口を殴りつけられ、榊原は開けっぱなしの口からよだれがだらだらとこぼす。すっかり馬鹿になったメスクリからは、だらだらと汁がとまらない。ちんこ汚れちゃいましたねえ、と笑いながら、黒崎は榊原を戒めていたコックリングを外してやる。
「出していいですよ。ですが、」
「ふぐぅっ♡」
「タマ空っぽになって、潮と小便まき散らしても、」
「ん゛お゛ぉぉー♡♡♡♡♡♡♡」
「ずっとイキ続けてくださいね」
どろどろと勢いのない精液を吐き出し続ける榊原の肉棒に、黒崎が触れる。厳密には、触れたのは肉棒の下にあるふたつの睾丸だった。ぎゅうっ、と力を入れて押しつぶされた睾丸と、その刺激で榊原の陰茎はばかみたいに精液を吐き出す。優秀な公安の種が無様に腹にまき散らされているのを、くすくすと黒崎が笑っていると、彼の手が生ぬるい液体に汚される。精液のような粘度のないそれに、おや、と黒崎が思っていると、つん、とアンモニアの臭いがする。小便だ。
精液と一緒にためこんでいた尿を吐き出して、自分の服とその下のペットシーツを汚している優秀な男に、くく、と黒崎は喉を鳴らす。万が一、で敷いていたペットシーツが役に立つとは思わなくて、黒崎は榊原の形の良い耳にそっと音を吹き込む。
「榊原さん、おしっこ漏らして小学生みたいですよ」