朝起きてすぐと、朝食を食べたあと歯を磨く。この習慣が弥世についたのは、わりと最近のことだった。
親から躾の類はおろか、愛情表現をろくに受けてこなかった彼女は、最低限の身だしなみを整えることしか知らなかった。汗をかいたから風呂に入る。口がベタベタするから歯を磨く。それ以外のことは知らなかったし、知らないままでも、なにも彼女は困ることはなかった。誰も彼女のことを見ていなかったから、彼女は身なりを整えることをしなかった。そんな彼女が身なりを整えるようになったのは、九条敬司と出会ってからだった。
平均程度の身長の弥世からすれば、見上げるほどに背が高い敬司は筋骨たくましい身体をしていた。そんな彼の身体は、ぴかぴかに磨かれた革靴と体にあったスーツで武装されていた。抱きついても彼が吸っているたばこのにおいと、ほのかに香る香水のにおいしかしない。
そんな彼に拾われた弥世は、毎日身体を洗うこと、髪を洗うこと、朝晩歯を磨くことが習慣付けられた。最初こそ面倒だと思っていた弥世だが、きちんと彼の言いつけを守れば褒めてくれる。それが嬉しくて弥世は毎日風呂で身体を洗うし、歯を磨くようになった。身体を洗うボディソープも、シャンプーやコンディショナーもお気に入りの商品ができた。ドラム式洗濯乾燥機の柔軟剤も、今では弥世が選ぶようになった。
スキンケアなんてしたことがなかった弥世が、今では自分からスキンケアをするようになった。それだけ敬司に褒められる、ということが嬉しくてたまらない彼女は、んふんふと鼻歌を歌いながら朝食後の歯磨きと洗顔をすませて、今は化粧水をコットンで馴染ませていた。
美容液を手に取り、顔になじませる。優しくプレスして馴染ませていると、洗面所の扉が開かれる。ぬうっと現れたのは敬司だった。百五六センチの弥世と、百八八センチの敬司が並ぶと、まるで大人と子どもだ。敬司が洗面所を使えるように弥世がどこうとすると、敬司は彼女に、そのままでええから、と言う。
「顔洗うんじゃないの〜?」
「ちゃう、洗濯モン入れにきた。寝間着も洗うでな」
「そっか〜」
「……ええにおいするな」
「そう〜? これね〜、この間届いた新作の〜。レモンのかおり〜」
「ほーけ」
適当な返事をしながら敬司はしゃがむ。はっ、と気がついたように弥世は隣にしゃがんでいる男にだめ〜、と言う。乳液のボトルを手にしながら、つんとした小さな唇を尖らせている顔は、敬司からすればキス待ちをしているときの顔だった。
「ちゅーは今だめ〜。乳液つけてから〜」
「ちっとくらいええやろ」
「だめ〜。けーじのちゅーは長いもん〜」
「けちやな」
「けちじゃないもん〜」
小さな手で乳液を付け始めた弥世を見ながら、洗濯機に洗うものを入れ終えた敬司は、つまらんな、と言いながら洗濯機のスイッチを入れる。じゃばじゃばと水が入っていく音を聞きながら、敬司は弥世がスキンケアを終えるのを待つ。
乳液のボトルを片付けた弥世は、いいよ〜、と言って振り返る。によによ笑っている弥世の肩を掴むと、敬司は彼女の唇に自分の唇を重ねる。んぁ、と空気ごと敬司の肉厚な舌を口に含まされて、弥世は彼の肩に手を回す。太い、筋肉で覆われた敬司の首にぶら下がるように手を回した弥世は、がくがくと膝から下が崩れそうになる。敬司の大きな手が弥世の後頭部と体に移動して、しっかりと彼女を抱え込む。
じゅるじゅる、と舌を吸われ、唾液を混ぜ合わせていた弥世は鼻から呼吸をしていても、だんだんと苦しくなる。とん、と軽く分厚い敬司の胸板を叩くと、一層強く舌を吸われてから口が解放される。
はふはふと口で荒く息をつきながら、弥世は敬司を見る。少し息を荒げただけで、全く余裕そうな彼に、ほんの少しだけ悔しさを覚える。
「けーじのえっち〜」
「お前かてノリノリやったやろ」
「そうだけど〜」
「どうせパンツ濡れたやろ」
「……そんなことないもん〜」
「確認したるわ」
「あ、ちょっ、こら〜!」
黒いプリーツのミニスカートの下に、するりと無骨な敬司の手が差し込まれる。ぺちっ、と肉の薄い太ももで挟む弥世だったが、そんな抵抗などものともせずに、敬司の手は太ももの付け根で、彼女のショーツを無遠慮に触る。んも〜エロ親父〜、と呆れながらも弥世は本気で抵抗をしようとしていない。敬司が軽く触れた弥世のショーツは、確かに少しだけ濡れていた。
「濡れてるじゃねえか。淫乱か?」
「違うもん〜。けーじがえっちなちゅーするからだもん〜」
「俺のせいか」
「そう〜」
「ほな、責任とったるか」
「ほえ?」
プリーツミニスカートの留め具を外された弥世は、その場にぱさりとスカートを落とす。一瞬遅れて気がついた彼女は、こら〜、と声を荒げるが、スカートを彼女が持ち上げるよりも、敬司が彼女のフリルで飾られたサイドをリボンでとめているだけのショーツを脱がす方が早かった。しゅる、とショーツを脱がされ、敬司の手がぐいと弥世の腰を引き寄せる。近すぎる距離に、弥世はふにゃりと力を抜いた。
「けーじ、だめ〜……今日はデートするって予定あるのに〜……」
「今すぐ出るわけちゃうやろ」
「でもぉ……」
「ちょっと洗うだけや。ついでに気持ちよくしたる」
そんな理屈どこにも通じないはずなのに、敬司が言うとすんなり受け入れてしまう自分がいる。耳元で囁かれる敬司の甘く低く腰に響く声で、弥世は骨からくにゃくにゃになりそうだった。敬司の大きな手が、Tシャツのすそをつかんでめくりあげる。
「ちょ、まっ……髪が引っかかっちゃう〜」
「おとなしくしとれ」
ぺろりとめくられたTシャツの下は、ショーツと同じフロントホックの可愛らしいブラジャーがあった。慎ましいサイズの乳房を守るそれを、脱がしやすいやつやん、と敬司が言えば、かわいいやつなの〜、と弥世は訂正する。ぱちんとホックを外されたブラジャーも、めくりあげられたままのTシャツもまとめて脱がされる。
スキンケアの賜物か、弥世の肌はすべすべとしていて、敬司の太く長い指が触れるたびにぴくぴくと小さく跳ねた。ちりり、と小さなふたつの乳首を飾るシルバーのリングピアスが小さく揺れる。
「やぁだ〜、けーじのえっち〜」
「おう、知っとる」
「開き直り〜」
「悪かったな」
敬司は着ていたスラックスを、ボクサーパンツごと脱ぎ捨て、黒いシャツも雑に脱ぎ捨てる。お互い裸になると、弥世は軽々と敬司に抱き上げられ、脱衣所のドアを開けて風呂場に運ばれる。
床に降ろされた弥世は、ひんやりとしている床に思わず驚いてしまう。
「ひゃうっ、床つめたっ……」
「ほな、あっためたる」
シャワーのお湯がふたりの体を濡らす。弥世がさっきスキンケアしたばっかり〜、と口をへの字に曲げると、後でやったる、と敬司は少ししゃがむとその口を塞ぐ。角度を変えて口づけを深めながら、慎ましいサイズの弥世の乳房に手を伸ばす。つん、と硬さを持ち始めた乳首を指の腹で押してやれば、びく、と弥世の細い体が跳ねる。親指で押し潰して、人差し指と挟んで引っ張る。軽く乳首を責めてやっただけで、感度の良い身体はびくびくと跳ねる。
ギュッ、と強めに乳首を押しつぶし、軽くリングピアスを引っ張ると、弥世はびくびくと身体を跳ねさせる。ぷしっ、と潮を何度か吹き出した彼女の耳に、敬司はえっちな女やな、と吹き込む。とろん、と絶頂の余韻を味わっていた弥世は、その言葉でふるふると体を震わせる。膣口からとろぉ……と粘度の高い白く濁った愛液が垂れてくる。
「まんこからよだれ垂れとるぞ」
「んあ……やぁ……♡」
「どろどろやんか。そんなにちんこ咥えたいんか」
「けーじがえっちな触り方するからだもん……♡ おっぱいつねるからだもん……♡」
「おっぱいつねられて、まんこどろどろにするほうが変態やんけ」
「そんなこと……ひゃっ♡」
ぷしっ! ぷしゃっ!
敬司の左手で乳首を引っ張られ、右手で弥世の無毛の鼠径部を撫でられる。抜けるように透明な肌に、ふわりと丸みを帯びた外陰部。敬司の右手は、弥世のぷっくりと膨らんだクリトリスを弾いている。ぴん、ぴん、と弾かれると、そのたびに弥世は口から喘ぎ声を出して、膣口からどろどろとよだれを垂らして、尿道から潮を吹く。
敬司にすがりつくような形で、彼の首に巻き付いた腕でかろうじて立っている弥世の膝が崩れ落ちそうになる。それを乳首を引っ張っていた左手で支えた敬司は、クリトリスを捏ねたり、弾いたりして遊んでいた右手を、彼女のぴったりと閉じていた膣にいきなり三本入れる。
突然入ってきた指をきゅんっ、と強く締め付ける弥世。その締め付けに、相変わらずええ締まりやな、と敬司は彼女の耳元で感想を吹き込む。腰が砕けそうなほどの色気を孕んだ低い声に、弥世はけーじのいじわる、と息も絶え絶えに返事をする。
「意地悪してへんやろ」
「してるの〜……みよ、けーじの指じゃなくて……おちんちんほしいのに……」
「このあとデートするんやろ? ちんこ入れたら、お前、ずっとこれ食うやろ」
「う〜……デートもするけど、えっちもするのぉ……」
「わがままやな」
喉で笑いながら、敬司はすっかりいきり立った肉槍を弥世の膣口にあてがう。弥世の膣口は触れたズル剥けの先をしゃぶるように、ひくひくと口を動かす。食いしん坊やな、と喉で笑いながら、敬司は弥世の細く薄い腰を両手で掴むと、どちゅん! と、勢いよく最奥まで規格外に大きすぎるそれを一息に入れる。
成人男性の平均サイズのゆうに二倍はあるだろう、長さと太さの陰茎を勢いよく入れられたというのに、弥世の膣はそれをしっかりと受け止める。子宮口にぴったりと当たる敬司の陰茎に、弥世は、んあ……♡と鼻を抜ける声を上げる。
盛り上がった肉の冠のようなカリ首で、ぞりぞりと中を擦り上げる。少し敬司が腰を動かしただけで、弥世の膣は包み込むように締め付ける。
「相変わらず最高やな……」
「んん……♡ みよ、他の人のおちんちん知らないもん……♡」
「知らんでええ。俺だけのモンや」
「んおっ♡♡ おく、りゃめぇっ♡♡♡」
「だめやあらへんやろ」
一番奥は欲しいって言っとるぞ。
ポルチオをどちゅどちゅ、と突きながらそう敬司が指摘する。ポルチオをごつごつと突かれるだけではなく、Gスポットを長過ぎる陰茎で同時に擦り上げられ、弥世は敬司の逞しい体にすがりついて喘ぐばかりだ。奥を刺激するたびに絶頂しているのか、弥世の尿道は馬鹿になったように潮を吹いているし、血管がたくましく沿っている敬司の陰茎を咥える膣口からはどぽどぽと白く濁った本気の雌汁を垂らしている。
オンナの匂いプンプンさせよって、と敬司が弥世の耳を甘噛しながらそう呟いてやると、けーじのおんなだもん……と息も絶え絶えに弥世は答える。
「あぁ〜♡♡ りゃめっ♡ も、でにゃい♡ おしっこでちゃうかりゃ♡♡」
「潮が空になったら小便か。ええよ、風呂場だから、なんぼ汚してもええで」
「うう〜……♡♡ やあっ♡ おく、こんこん♡ やっ♡」
「嫌やあらへんやろ? 弥世のまんこ、俺のちんこほし〜、ってきゅんきゅんしとるで」
「うあ♡ おくっ♡ こねこね、らめっ♡♡」
「だめやあらへん。ほら、腹いっぱい食わせたるからな」
ごちゅごちゅ、と腰骨が当たるほど強くピストンされると、弥世は仰け反って喘ぎ声を出す。そのたびに弥世の膣は、馬のように大きな敬司の陰茎を締め付ける。食いしん坊すぎるやろ、と敬司は呆れながらおりてきている子宮口に、反り返った先端を押し付けるように腰を打つ。
ぐにゅぐにゅ、と先を押し付けられ、子宮の中まで入ろうとする敬司の肉に、弥世のからだは受け入れる準備をしてしまう。媚びるように肉が蠢き、絞り取るような動きに変わる。じゅるる、と吸い上げるような動きに変わり、敬司は弥世の体を引き込むように抱き抱えて、彼女の一番奥に凶悪すぎる大きさの肉棒を押し付ける。はくはくと亀頭の先は開きかけている。
ぐぷぐぷと子宮口をこじ開けるような動きが気持ちよかったのか、弥世は一層おおきく体を震わせて弛緩する。すっかり力の入らない細くて薄い体を、弥世は敬司の筋肉で覆われた体にもたせかける。はふはふ、と荒い息を吐いている彼女の中は、うねるように敬司の陰茎を締め付けている。ぎゅうぎゅうと搾り取るような動きに思わず、ヤクザにカツアゲするなや、と笑いながら敬司は弥世の腹の中に精液をぶちまける。人よりも大きな睾丸がぐぐっ、と持ち上がって尿道から半ばゲルのように固まった精子が吐き出されていく。びちゃびちゃ、とも、びゅるびゅる、とも言えない粘着質な音が腹の中から聞こえるような気がして、弥世は敬司に絡みつきながらもっかいする、と首を傾げて尋ねる。
「俺はかまわんけど、もっかいしたらデート行く体力残っとるんか、お前」
「おうちデートにする〜」
「おうちデートってな……そらいつもと変わらんやろ」
「シアタールームで映画みるの〜。ピカチュウのやつ〜」
「お前なぁ。今日カフェの新作ケーキ食べる言うとったやろ」
「あしたもけーじおやすみでしょ〜? だから、ケーキはあした食べに行くの〜」
「現金なやっちゃな……」
ほな、続きしよか。
敬司は弥世のおうちデート発言に呆れつつも、彼女のなかですっかり元気を取り戻して、先ほどと変わらずバキバキに血管に血が巡っている陰茎を動かす。ごつ、と一番奥に叩きつけるように吐き出した精液を掻き出すような動きをされて、弥世はきゅうっ、と膣を締め付ける。
「そないに締め付けられたら動けんやろ」
「だって〜……けーじのおちんちん、おっきいんだもん〜……」
「はいはい。そのでかいちんこじゃないと満足できへんようにしたのは俺やしな」
「んおっ♡♡ ちょ、けーじ♡♡ いきなりおくぅ♡♡ ♡♡」
「ここがええんやろ?」
入り口から一番奥まで俺のザーメン馴染ませといたるわ。
そう嘯きながら、敬司は先ほど吐き捨てた精液を、言葉通り弥世の膣内に馴染ませるようなゆっくりした抽送運動にする。まるでこの膣が誰のものなのか、理解させるような動きをするものだから、弥世はふるふると体をふるわせる。ひっきりなしに喘ぎ声をあげる弥世と、彼女の膣口から溢れたどろどろの白濁とした雌汁と精液がまざった液体が二人の下半身を汚していく。ぐちゃぐちゃの下半身を一瞥した敬司は、あとで隅々まで洗ったる、と弥世が大好きな下腹部に響くような低音を彼女の耳に吹き込む。鼓膜から犯されるような感覚に陥った彼女は、その言葉だけできゅんっ、と膣を締め付ける。
むちゅむちゅと締め付けて離さないと言わんばかりの彼女の中に、敬司はゆっくりと馴染ませるように極太のそれをゆっくりと進ませる。すっかり彼女は何をされても膣を震わせて、上からも下からもよだれを垂らすばかりになってしまっていた。そんな彼女の耳に、あと何回で弥世がトぶんかなあ、とくつくつと彼は喉を震わせて笑い声を吹き込むのだった。