嗤うノウゼンカズラ– category –
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5日目-朝
どんどんどん、と扉を乱暴にノックされる音でアランは目が覚めた。ベッドのヘッドボードにあるデジタル時計は、まだ七時を指し始めたばかりで、朝早くから誰だろう、とアランは考える。だいたい予想がつくような、ついてほしくないような、でもこんな時... -
閑話 クリスマススペシャルジャンボサイズパフェ
「もう何が来ても驚きませんよ」「僕、知ってるよアランくん。そういうのってフラグ、って言うんでしょう?」「フラグじゃないです! 本当ですって!」 アランと美晴がそんなやりとりをしている間、ベルクは苛立ち気味に組んだ腕をとんとん、と指先で叩... -
4日目-夜
「めちゃくちゃ寝た!」 山崎アランは夕暮れ空を見ながら、思わず叫んでしまった。 借りているホテルの一室。昨夜随分と飲んでしまったものだから、まだまだ眠り足りなくて、ペットボトルのミネラルウォーターを一気に半分飲んで布団に篭ったのだ。部屋... -
4日目-昼02
「君、今日来たのはそれだけの理由かい?」「あ?」「僕が怪死事件を起こしている、っていう確認だけだったのかいってこと」 君のことだから、もっとなにか企んでるのかと思っていたんだけどな。 微笑んでいた顔を少しだけゆがめて、いたずらっ子のよう... -
4日目-昼01
ホテルからほど近く。異様に水分を蓄えられ、破裂した死体が発見された路地裏近くでは規制線が貼られていて、治安維持のための舞台の職員たちが右に左に忙しく働いていた。彼らはベルクが近寄って来るのを見ると、一度敬礼をする。 現状を伝えるように... -
4日目-朝
「おはようございます……」「おう、喉がっさがさじゃねえか」「昨日、そこそこ飲んじゃって……」 二日酔いはしてないんですけど、全身浮腫んでる気がします。 ぼさぼさの髪に浮腫んだ顔。だるそうに閉じられた目に、ガサついた声。ベルクは隣の部屋から出... -
3日目-夜
どの世の中でも、酒が入れば人は大なり小なり騒がしくなる。理性という箍は外され、本性を垣間見せる人が増える。のんびりと居酒屋から出てきたアランも、ほんのりと頬を赤らめている。見覚えのあるチェーン展開している居酒屋から出て来た彼は、ホテル... -
3日目-昼05
奇声とともに「が」の音を投げつけようとする男の、ぶよぶよの喉元に手をかけたベルクは、そのままフラッシュ能力を発動させる。あがるはずだった声ごと、声を出す、と言う機能を破壊された男は、目をぱちぱちとさせるばかりだ。フラッシュ能力で生み出... -
3日目-昼04
アランとユウキを研究所から逃したベルクは、ジャケットの胸元からタバコのケースを取り出す。おおむろにタバコを咥え、安いライターで火をつける。甘ったるい人工的な甘味の味が舌と肺に広がっていく。 ふぅー、と煙を吐き出してからベルクは、揺れと... -
3日目-昼03
「よく分かんなかった!」「オレもよく分からなかった!」「にいちゃん、おれ、自由研究から自由工作にしようと思うんだけど、どう思う?」「いいと思うよ。何作ろうか……」「手伝ってくれんの?」「旅行中、暇だからね」 元気よく、分からなかった、と一...