嗤うノウゼンカズラ– category –
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3日目-昼02
奥の通路から来たのは、腹の出た体型の男だった。頭髪はだいぶ後退が始まっており、額と言える場所がだいぶ見えている。よたよた、と検査衣姿で必死に走ってくる様子は、いっそ滑稽ですらあった。 なんだありゃ、と呆れたようにベルクが呟けば、メタボ... -
3日目-昼01
「フラッシュが世界で最初に発現したのは、今から百年ほど前のことです。最初に発言した人物はエイドリアン・バーナード。発現したのは五十代の頃でした。このトランペッター・バーナード島を建設された、レベッカ・バーナードの先祖に当たります。エイド... -
3日目-朝
朝早くからユウキとベルクに連れられてアランが訪れたのは、第一区域にある巨大な研究所だった。医療施設も併設しているらしく、エントランスまでついてきてくれたベルクが、帰りはふたりそろって迷子になるなよ、と鼻で笑われる。実際、トランペッター... -
閑話 スペシャルビッグサイズストロベリーチョコレートパフェ
「おまたせしましたあ」 店員がカートに乗せて運んできたものを、どん、とテーブルに置く。ごゆっくりどうぞー、とやる気のない返事で去っていく店員を他所に、アランは掛けていたメガネが汚れていたのかな、と思わず現実逃避をする。 眼鏡をパーカーの... -
2日目-夜
深夜。第三区域の奥まった港にある、再開発が予定されている半ば放棄された倉庫街の一角にある、コンテナの中にベルクはいた。 常と変わらぬ黒地のストライプジャケットに、無地の黒いスラックス。赤地に深い赤色のトライバル模様が目立つシャツ。黒い... -
2日目-昼04
「ちなみに、向こうの扉ってなにがあるのかな」 そう言ってアランが指を刺したのは、この部屋に唯一ある扉。気になんの、と少年・ユウキが言うものだから、そりゃあね、と肩をすくめるアラン。なにもなかったと思うけど、と言いながらユウキは扉をぐっ、... -
2日目-昼03
目が覚めると、そこは一面のパステルカラーの部屋だった。 床も、天井も、壁もパステルグリーンやパステルブルーなどの色が使われ、置いてある大きなブロックや積み木、ぬいぐるみたちも、柔らかそうな素材である。そして、アランの向かいには扉が一つ... -
2日目-昼02
灯台の近くにあったカフェに入り、チョコレートサンデーと、ランチタイムだからとパスタとオープンサンドを各々が注文する。チョコレートサンデーだけは奢りますけど、とアランがちょっとだけ恨めしい目で言えば、オープンサンドは自分で出すが、とはん... -
2日目-昼01
どうしてこうなった。 誰にともなく、アランは灯台の上で疑問を浮かべていた。 朝にベルクと灯台に観光に行く約束を無理矢理取り付け、準備を済ませたアランは息を切らせてフロントに向かえば、すでにベルクがそこで待っていた。遅ェ、と文句を言う彼... -
2日目-朝
朝食付きプランにしていたため、アランはホテルで借りている部屋の外に出ることとした。朝食をつけてもつけなくても、料金が変わらないのであれば付けてお得感を楽しんでしまう。そういうアランは人種であった。どんな朝食なのだろうか、と浮かれながら...