彼と彼女のアジアート– category –
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彼と彼女のアジアート
雪とうさぎの話
「ううう……寒いな……」 巣鴨は文句を言いながら、けたたましくなるスマートフォンのアラームを止める。二度寝しようか、と思ったものの、想像以上の寒さに目はバッチリと冴えてしまった。羽毛の掛け布団でも防ぎきれない寒さに震えながら、ベッドから這い... -
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手入れをしたいお年頃
巣鴨雄大はオシャレに気を配る男性だ。ピンクブラウンに染めた髪だって、こまめにリタッチカラーをしているし、カラー用のシャンプーやダメージケアのトリートメントを丁寧に使っている。ボディソープも気を配って、ちょっといい香りがするものにしてい... -
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それはやっぱり季節イベント
「うーん……悩ましいな……」 王道でもいいけど、やっぱりチョコまみれのもおいしかったしなあ……いや、でもそもそもこれじゃないのでも…… ぶつぶつと独り言を言いながら、巣鴨雄大は悩んでいた。その悩みは、だいたい二月の終わりがけから、彼の脳の片隅... -
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イチゴとレイトショー
職場の懇親会で、朝からイチゴ狩りをしてきた晶は、手土産にとバスケットに入ったイチゴを買って夕方帰宅した。ワンバスケット五百円。別途入場料がかかるとは言え、しっかりとイチゴ狩りを楽しんできた彼女――無表情なりに楽しんでいる雰囲気は伝わった... -
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長く楽しく、ちょっと太めに
スマートフォンを触っていた巣鴨は、できたよ、と言いながら仰向けだった身体を起こす。上半身を起こした彼の目の前にはカップうどんの容器が鎮座していた。 向かいに座る晶が、そうか、と言いながら大手メーカーのカップうどんの蓋を剥がす。同じよう... -
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クラスの王子様
本庄晶はクラスの王子様だった。 過去形なのは、彼女はもう卒業しているからだ。彼女、という事から分かるように、女性だ。それでも、彼女はクラスの王子様だった。もしかしたら、学年の、かもしれない。 短く切り揃えられた黒髪。ショートボブのよう... -
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うさぎりんごとすりおろしりんご煮
巣鴨雄大はおかゆは苦手、というのを本庄晶が知ったのは、同棲を初めて少ししたくらいだった。 晶は風邪も引かなければ、ワクチンの副反応も引くことがない元気な体質なのだが、巣鴨はそうてはないらしい。いつも元気な子犬のような恋人が、満員電車で... -
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融解温度
巣鴨は手のひらよりやや大きい袋に入った、大きなアメリカ産のマシュマロの袋をハサミで開けていた。彼が立つシンクの前にはココアの袋が置かれており、電子レンジが低い唸り声を小さく上げて仕事をしている。 ちん、と軽い音を立てた電子レンジは、自... -
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イン・ザ・バスルーム
シャワーでキメの細かい泡を生み出したことに満足した巣鴨は、うきうきと湯船に体を沈める。ボディーソープでしっかりと体に泡をまとわりつかせ、きれいにした体に泡が再度まとわりつく。ふわふわでもこもことした泡をかきわけて湯船に体を沈めると、下... -
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シャボンとバスルーム
巣鴨雄大はふ、と目についたパッケージを手に取った。 ドラッグストアに立ち寄った理由は、日焼け止めが無くなりそうだったから買いに来たついでに、予備の歯ブラシとボディソープの詰め替えを買いに来たのだ。だから、目についたそのパッケージは買い...